2011年1月26日水曜日

#7 紡がれた言葉

午前2時半。

夜は地平線に接近し、光が迫る気配はまだない。

向かいのコンビニの光が神々しく、中で働く暇そうな店員いつもレジに座ったり、立ったりを繰り返す。

部屋着のままベランダへ出て、煙草を吸う。

吐く息は白く、寒さ故かタバコの煙か。

店員は未だに暇そうだ。

こうした日々がここに住んでから幾度となくある。

名前も知らない20m先の人間が2時半頃どんな顔して何しているか。
それをボクが知っているというのは、なんだか面白い。

知らない人間を一番知っているかもしれないというこの現象は、もしかしたら一番自然で一番人間らしいのかもしれない。


彼と話す事は、朝一番のコンビニで「袋いりますか?」「いりません。」それだけだ。

2011年1月17日月曜日

#6 単なる売場ではなくなる店舗の姿

今回から数回に渡って、ボクの所属する研究会の入ゼミ課題について自分で少し書いてみました。

そして第一回は”単なる売場ではなくなる店舗の姿

立地、建物、インテリア、サインやネーミング、製品ディスプレイ、顧客の体験、店員のパフォーマンスや顧客とのコミュニケーションスタイル、得られるサービスなど様々なファクターが組み合わさって、売り場が形成されます。

ここからはボクの考え。
ただiPadを導入して、インタラクティブな店頭スタッフの接客というワケではなく、すべては導線だと考えています。ファッションブランドが店頭でiPadを使っても、ただカタログがデジタルになっただけだし、進化し、インタラクティブになったのはあくまでもiPadのディスプレイの中でしかありません。これをもっとうまく設計していくのがこれから求められる、店頭であり、売り場ではないでしょうか。

つまり、
①入店する前のインターネットや雑誌などなんらかの情報を得る所
②入店時(音楽や展示方法、最初に出会う店員、室温、照明)
③店内の動線(人々がどのように動くのか。とどう動かせたいかのバランスを顧慮した動線)
④製品やサービスとの接点
⑤店員とのコミュニケーション
⑥購入の決定
⑦支払い
⑧購入後の保証、アフターサービス
⑨再来店

このストーリーを考えて上で、効率化を図る部分とあえて残す部分を考えることにします。
効率化を図る部分に関してはおそらく異論は無いと思います。
面倒くさい作業はいらないですよね。
例えば、Apple ではレジは現在ありません。
店内にある製品の乗ったテーブルにはレシートのプリント機能がついていて、店員のiPhoneからバーコードを読み取り、送信すると、レシートが出てきます。
このように、レジに並ぶという行為を省きました。しかし、これは違った目線から見ると、顧客とスタッフが1対1で向き合って、購入まで至れる仕組みでもあるのです。

店員に最初にコミュニケーションするのは製品を手にとり、じっくりにらめっこをしてるときです。
この時に出会う店員がおそらく最初です。普通の店舗では、最初に話しかけてくる店員がいて、製品に詳しい店員が次に来て、在庫確認している時に話しかけてくる店員がいて、レジに行ったら違う店員がまたいて。と何人も出てくるのです。
つまり、一人の店員が一人の顧客のパートナーとして店内では接してくれるような設計をしています。
また、この効率化は人件費も回転率も上がると思います。
つまり、顧客が持つ面倒くさいたらい回し状態の解決と企業が負担する人件費や回転率といった経済的な効率化の二つを良くする一つのアイデアでは無いでしょうか。

では、つぎにAppleではありませんが、少し面白いアイデアを見てみます。
チームラボの開発したハンガーです。

これはハンガーを手に取ると前のディスプレイにそのアイテムを使ったコーディネートが現れるものです。
ハンガーを手に取るという人間の習性?行動?をインターフェイスとしています。この行為自体はなにも進化はありません。
しかし、この目の前のディスプレイにコーディネートが現れる事で、購買意欲がわいたり、再来店のきっかけとなるひとつの店舗サービスとなったりします。
つまり、先に述べた③店内の動線④製品やサービスとの接点⑥購入の決定⑨再来店
の4つの点を補完してくれるモノになっているでしょう。

このサービスはちなみにウェブで洋服を買う時、コーディネートを見れる方が売上が良いという法則をリアルの店舗に持って来たという発想らしいですよ。
さすが、チームラボ最強に面白い。いや、最狂におもしろい。

では、少し話を戻して、なんのための店頭、売り場かという切り口で考えてみます。
従来売り場というのは、その言葉の通り製品を売る場所です。
現在普遍的なイメージとしては、フラッと立ち寄る所、製品に直接触れる場、購入する場くらいでしょうか。
あとは修理しにいくくらいですね。

しかし、Appleの店頭の革新は、製品の学習の場にした事です。
もともとApple製品には基本的に取扱説明書はありません。そのため、使い方がよくわからない所も実際あるとは思います。その不足部分を店頭におけるイベントでレクチャーする事で来店の動機を増やす事に成功しています。
また、その製品は購入した段階では完成されていないのです。

そして、このある種レクチャーというアナログなコミュニケーションによる製品取り扱い説明をする事で、店頭来店を増やすという効果や店員とのコミュニケーションをすることでブランディング効果をもたらすのではないでしょうか。

まとめますと、二つの変化が施されている。
①効率化を図り、合理的に手間を省く
②あえて効率化を図らず、アナログ感覚を残すことで、信頼の構築をする。

この二つが適切に施される事で、店頭の意義や店頭に置ける売上の向上が見込めるのではないでしょうか。

2011年1月11日火曜日

#5 にんげんをしあわせにするデザイン




デザインハブで展示されていたにんげんをしあわせにするデザイン展に行ってきました。

プロダクトもあれば、サービスやイベントのような設計などさまざまな展示物があって、すごくコンセプトを読んで、体験して理解していく展示会でした。



ただ、この展示会で印象に残ったのはある特定の作品ではなくて、にんげんをしあわせにするデザインというテーマにおいて、結論はすべての作品がつながりというものを提示してくる点です。

果たしてこれが正解なのか間違いなのかむしろ、正解や間違いといった基準ではないのかわかりませんが、すごく気になりました。


もちろんデザインというもの自体がある対象間をつなぐ役割があるとは思います。
人と人、人ともの、人とサービス、人とペット、人と空間などなど


その中で人とある対象とのつながりや関係を距離という単位で表しているものがありすごく面白かったです。



たしかにたとえば、トイレのあの閉鎖的な空間のサイズなどがこのデザインの例にあたると思いました。

狭くて窮屈だなと不快に思うトイレもあれば、決して広くはないけど、居心地の良いトイレ。広くて、身動きとりやすいけど、落ち着かないトイレ。
このようにサイズ一つを見ても幸せの度合いが変化するのです。


そして、この展示の隣には照明の展示がありました。

空間のサイズという概念に組み込まれてもいいのではないかと私は思っています。
2m × 2mの立方体の空間があるとして、暖色系の照明にしたときと白い蛍光灯のような照明にしたときでは、認識するサイズが異なるでしょう。



とまぁ、こういう何かと何かのつながり、関係をデザインするものが展示されていました。

ただ、一つ思うのは、にんげんをしあわせにしているデザインはつながりというものだけなのでしょうか。

なんだか違う気がするのはボクだけでしょうか?

2011年1月10日月曜日

#4 アシックスのキャンペーンコンセプト



メッセージがすごくいいです。
走る事で不安や不満などを脱ぎ捨てていくというコンセプトで、すごく魅力的だと思います。


そして、見せ方もシンプルで汗のように不安や不満、悲しみ等が人から出て行く。

このよさは、スポーツ(走る事)は健康やただ汗をかいて身体を作っていくものではなく、人の心を健康にしていくことというメッセージが、綺麗な映像で表現されていること。

わかりやすい広告ってやっぱりいいな。無駄が無い感じ

2011年1月9日日曜日

#3 噛んでも形状維持してくれる無限かみかみストロー

先日なおすけべさんと久しぶりにお会いして、カフェで3時間くらいしゃべっていて、面白い話になりました。

人間の行動に沿ったプロダクトデザインをしていくという話です。

そんな話をしている時に思いつきました。
形状を維持してくれるストローです。

皆さん、カフェとかで飲み終わった後に、残ったストローを噛んで、暇つぶししたりしませんか?

あのストローを噛む感触を保ちながら、ストローの形状を維持する事で汚らしくならないというものです。

また、この感触にハマってしまうと、家でストローを使うという新しい文化が生まれるのではないかと思います。
家では滅多な事が無い限り、コップやグラスに入れてそのまま飲み物を飲みますが、このストローを開発すれば、ニッチなクラスターからある種のプチハレ文化として流行する可能性があるのではないかと思います。





2011年1月8日土曜日

#2 インスタントのみそ汁。

今回は、広告とかそういうものではありません。


最近、インスタントのみそ汁にハマってるんです。


なんで、あいつは俺のココロをあんなにも動かすのか。考えてみました。

【背景】
まず、ぼくはつい最近まで、そんなにインスタントのみそ汁を買って飲む方ではありませんでした。もちろん、実家を離れて暮らすのも、大学からなので3年くらい経ったので、コンビニで購入して飲む機会はあったはずですが、なんだかあまり経験してこなかった訳です。
で、なんで最近飲むようになったかと言うと、忘年会とか飲み会が増えて、胃の休まる、かつ、あったまる飲み物を探していて、飲み始めたのがきっかけです。

ただ、ほかにもおでんとかコーンスープとかいろいろ売ってるけど、なぜそれらではなくて、みそ汁なのか。そこには理由があったのです。


【考察】
お母さんの助言です。

お母さんが、前日飲んで帰ってきて、二日酔いのお父さんに
「みそ汁つくったわよ。胃が休まるから」と
しじみのみそ汁を飲ませていたのをなんとなく幼い頃の記憶で覚えているのです。

しじみが胃にいいのか、みそ汁が胃にいいのか何も根拠は無いけど、なんだか間接的な経験によって、ボクの中で

(しじみの)みそ汁=胃に優しくて、胃が休まるあったかい飲み物。

が形成されたのだと思います。

そして、21才になった今、その思い出がふとした忘年会の帰り道に蘇ってきたのです。

つまりこのケースでは、幼い時に経験した家族の習慣?が、心のスイッチを入れたのではないかと思います。

ただ、この経験というのは、どういう時に呼び起こされるのかが重要だと思います。
もし、この経験がそれなりに多くの人の中に存在するならば、その状況を演出できれば、効果的なマーケティングになるからです。

友達の場合、

風邪をひいた時に、ポカリスウェットを飲むと言う事例です。
これも、彼は幼い頃から、風邪を引いたら、薬じゃなくてポカリを飲んで寝るという経験をしてきたがために、最近になって風邪をひいた時も、ポカリを買って飲んで寝るらしいです。

やはり同じように幼い時の経験がスイッチになっている。


他の家のこういう経験をもっと知りたいな。
そういうのを共有できるサービス無いかな?


『人はいつ子供に戻るかわからない。いや、ずっと子供なのかもしれない。』

2011年1月7日金曜日

#1 キャンペーンの後処理の良い事例。




皆さんもCMやキャンペーンサイトでご存知だと思いますが、白戸次郎のライバル有吉さんのキャンペーンサイトの後処理です。

もちろん、Softbankの仕掛けるキャンペーンそのものやCMなど様々な広告、マーケティング、PRは社会でも話題になり、広告賞なども数多く受賞しています。しかし、このキャンペーンの終わりにまでにくい演出をしてくるあたりが、さすがと言った感じです。

まずそもそも、この選挙シリーズCMは6/8〜出馬依頼のCMが流れました。



その後、墓の前で決心するCM



演説



選挙カーと続き、当選という流れでした。








その対抗馬として有吉弘行が抜擢されました。



このようなサイトが作られました。twitterでもCMでもこのキャンペーン全体のストーリーを演出するには必要不可欠だったのです。

そして、通常、このようなキャンペーンサイトは終了すると404のようなエラー画面が出て、終わりです。
もちろん、キャンペーン終了後にサイトに来る奴がいるのかと言われると、少ないとは思います。しかし、よく考えてみると、どんな理由があるにしても、キャンペーンサイト終了後にサイトに来るユーザーはその企業にとって重要なひとではないでしょうか。

そんなひとたちに向けてもしっかりとしたSoftbankらしさを最後まで出したというのが今回のサイト終了画面にあると思います。




『憎い演出は、後から来たひとにも伝わるように足跡を残していきます。』