今回から数回に渡って、ボクの所属する研究会の入ゼミ課題について自分で少し書いてみました。
そして第一回は”単なる売場ではなくなる店舗の姿”
立地、建物、インテリア、サインやネーミング、製品ディスプレイ、顧客の体験、店員のパフォーマンスや顧客とのコミュニケーションスタイル、得られるサービスなど様々なファクターが組み合わさって、売り場が形成されます。
ここからはボクの考え。
ただiPadを導入して、インタラクティブな店頭スタッフの接客というワケではなく、すべては導線だと考えています。ファッションブランドが店頭でiPadを使っても、ただカタログがデジタルになっただけだし、進化し、インタラクティブになったのはあくまでもiPadのディスプレイの中でしかありません。これをもっとうまく設計していくのがこれから求められる、店頭であり、売り場ではないでしょうか。
つまり、
①入店する前のインターネットや雑誌などなんらかの情報を得る所
②入店時(音楽や展示方法、最初に出会う店員、室温、照明)
③店内の動線(人々がどのように動くのか。とどう動かせたいかのバランスを顧慮した動線)
④製品やサービスとの接点
⑤店員とのコミュニケーション
⑥購入の決定
⑦支払い
⑧購入後の保証、アフターサービス
⑨再来店
このストーリーを考えて上で、効率化を図る部分とあえて残す部分を考えることにします。
効率化を図る部分に関してはおそらく異論は無いと思います。
面倒くさい作業はいらないですよね。
例えば、Apple ではレジは現在ありません。
店内にある製品の乗ったテーブルにはレシートのプリント機能がついていて、店員のiPhoneからバーコードを読み取り、送信すると、レシートが出てきます。
このように、レジに並ぶという行為を省きました。しかし、これは違った目線から見ると、顧客とスタッフが1対1で向き合って、購入まで至れる仕組みでもあるのです。
店員に最初にコミュニケーションするのは製品を手にとり、じっくりにらめっこをしてるときです。
この時に出会う店員がおそらく最初です。普通の店舗では、最初に話しかけてくる店員がいて、製品に詳しい店員が次に来て、在庫確認している時に話しかけてくる店員がいて、レジに行ったら違う店員がまたいて。と何人も出てくるのです。
つまり、一人の店員が一人の顧客のパートナーとして店内では接してくれるような設計をしています。
また、この効率化は人件費も回転率も上がると思います。
つまり、顧客が持つ面倒くさいたらい回し状態の解決と企業が負担する人件費や回転率といった経済的な効率化の二つを良くする一つのアイデアでは無いでしょうか。
では、つぎにAppleではありませんが、少し面白いアイデアを見てみます。
チームラボの開発したハンガーです。
これはハンガーを手に取ると前のディスプレイにそのアイテムを使ったコーディネートが現れるものです。
ハンガーを手に取るという人間の習性?行動?をインターフェイスとしています。この行為自体はなにも進化はありません。
しかし、この目の前のディスプレイにコーディネートが現れる事で、購買意欲がわいたり、再来店のきっかけとなるひとつの店舗サービスとなったりします。
つまり、先に述べた③店内の動線④製品やサービスとの接点⑥購入の決定⑨再来店
の4つの点を補完してくれるモノになっているでしょう。
このサービスはちなみにウェブで洋服を買う時、コーディネートを見れる方が売上が良いという法則をリアルの店舗に持って来たという発想らしいですよ。
さすが、チームラボ最強に面白い。いや、最狂におもしろい。
では、少し話を戻して、なんのための店頭、売り場かという切り口で考えてみます。
従来売り場というのは、その言葉の通り製品を売る場所です。
現在普遍的なイメージとしては、フラッと立ち寄る所、製品に直接触れる場、購入する場くらいでしょうか。
あとは修理しにいくくらいですね。
しかし、Appleの店頭の革新は、製品の学習の場にした事です。
もともとApple製品には基本的に取扱説明書はありません。そのため、使い方がよくわからない所も実際あるとは思います。その不足部分を店頭におけるイベントでレクチャーする事で来店の動機を増やす事に成功しています。
また、その製品は購入した段階では完成されていないのです。
そして、このある種レクチャーというアナログなコミュニケーションによる製品取り扱い説明をする事で、店頭来店を増やすという効果や店員とのコミュニケーションをすることでブランディング効果をもたらすのではないでしょうか。
まとめますと、二つの変化が施されている。
①効率化を図り、合理的に手間を省く
②あえて効率化を図らず、アナログ感覚を残すことで、信頼の構築をする。
この二つが適切に施される事で、店頭の意義や店頭に置ける売上の向上が見込めるのではないでしょうか。